太平洋戦争を題材にした歴史伝奇小説です。主人公は、ハワイで侍に育てられた、日本軍情報将校。対するは、古来から続く日本の秘密宗教団体と、この団体に属する、主人公の兄。これに、二人の愛する、伯爵令嬢。ハワイで、兄妹同然に育った、白人情報将校などが絡み、真珠湾攻撃、ミッドウェー、広島への原爆投下などが、歴史小説なみの精度で語られていきます。ポール・ウィルスンらしいところは、この宗教団体の持つ、秘術だけで、これがなくても歴史小説としてなりたつほどの出来栄え。しかし、この宗教団体が凄くて、入団するには、手や足、眼などを取り去り不具者になるという条件付き。グロテスクで恐ろしい集団です。この集団により、日本が戦争へとなだれ込むというストリーになってますが、現実に、何故日本が太平洋戦争を引き起こしたのかの必然性が、これほどグロテスクな考えを導入しないと理解出来ないほどです。★★★★
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