シリーズ3巻目の完結編ですが、1,2巻の良かったところが、すべて消えてしまいました。基本的に10代の子供たちの教養小説なのですが、それでも面白く読めたのは、風景描写や、心理描写に新しい試みがあったからです。今までにない、魔法の表現方法をみつけ、現代に魔法を蘇らせたのも、この心理描写が魔法にぴったりだったから。リーズンが、ポケットの中のアンモナイトの化石から、フィボナッチ数列を導き出したり、トムが洋服を作る際の感覚を魔法で表現したり、J.Tが踊る際の感覚を魔法に移したり、どれも見事な表現でした。J.Tが、オーストリアの太陽の下で走り回りたいと願う、オーストリアの空気感も見事な雰囲気を出してました。それが、この巻にはすべてがなくなって、登場人物の感情はダイレクトに本人の言葉で表現されてしまいます。何があったのか、とにかく先の2巻が非常に良かっただけに、この終わり方は残念です。★★
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