小島毅が書いているのは、歴史ではなく、朱子学から見た思想史であり、実際の歴史を扱うのはそれが彼の思想史を説明するのに便利だからにすぎないのでしょう。本書を読むとその過程が非常によくわかります。僕たちが知っている義経は、室町時代、江戸時代に、朱子学が作り出した新しい武士であり、義経時代、少なくとも義経は自分のことを、今のようなテクストの理解の中で考えてなかったということがよくわかります。また、白川静は新しい儒教を見せてくれたわけですが、実際に儒教を学ぶことが役に立つと教えてくれる小島を読むことは、自分の中の儒教部分を理解し、それから自由になるために必要なことなのだと考えられる、それだけの時間を費やされてできあがった本だということがよくわかります。★★★★★
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