作者は、Palm Computingの創業者のジェフ・ホーキンス。この人、資産を傾けて脳の研究をしていると書かれています。いきなり自分の人生の話しを書いたり、文章の書き方がヘタで頑張って読まないと、とても凄さには気がつかない本になってます。しかし、内容は凄い。
ぼくは前々から、今の人工知能の作り方を、チューリング・ロボットとかってに名前をつけていて、このシステムでは知性を作ることはできないと思っていました。もちろん、神秘的なものを信じているのではなく、化学的、物理的なものだが、知能に対するアクセス方法が間違っていて、チューリングテストの延長では、知能はできないと思っていたわけです。
この本、いきなりチューリングテストの延長である、知能の考え方を否定しています。
そして、時間の把握、予測、感覚器官へのフィールドバックシナプスが、感覚器官から流れてくる量の3倍などの考察から、考えるということがどういったものなのかという、モデルを作り上げています。
とくに、把握という概念が予測とセットになっていること、こうした考えは、今後のモデル作りや、インターフェースの作り方に大きな影響を与えると思います。
人間は、予測ができれば不便なものでも使うが、予測ができなければストレスに感じるという入力デバイスに対する考察は秀逸。
ヒューマンインターフェスに対する考え方を、まったく変えてしまう程の本です。
音声認識に対する問題点の指摘もうなります。
デザインを考える際に、脳の生物的な思考モデルを考えることも必要なのだということを理解できるだけでも、意味のある久々にじっと考えてしまった本を読みました。★★★★★
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