まず、この本は「ダ・ヴィンチ・コード」のようなミステリーではありません。頭が良くて、教養のある人物が渾身の力で書いた本は、いつでもとても面白くなります。ミケランジェロが描いたシスティーナ礼拝堂の天井画は、ユダヤ教や、新プラトン主義、タルムードなどから多くの影響を受けていて、実際に絵のこんな部部を見ると驚くようなメッセージが現れますと、教えてくれます。タムルードには、ソロモン王の作ったイスラエルの神殿と同じサイズの神殿を他の場所に作ってはいけないと書かれているそうで、教皇はキリスト教のユダヤ教への勝利を意味するために、わざとイスラエルの神殿と同じサイズの礼拝堂を作ったのだそうです。しかし、そんな勝利の建造物の天井画が、実はキリスト教とは1人として描かれず、ユダヤ人で埋め尽くされ、ユダヤ的なシンボルに満ちていた。それを、隠し通したミケランジェロの真意を読みとろうということで、読むのがわくわくする読書体験が味わえます。★★★★★
前作、「パターン・レコグニション」同様に現代小説になっています。今回は、2006年2月。ヒュベアトス・ビゲンドは、前作同様に世界の謎に挑戦を続けています。
「パターン・レコグニション」では、google、eBay、スターバックス、9.11でしたが、今回は、google earthに、GPS、ヘッドマウントディスプレーによる、路上バーチャルリアリティがアート作品として登場します。ヒロイン、ケイスに代わって、元人気ロックバンドのボォーカル、ホリス。東京は、高価で完璧な食事の代名詞になって、エッジからはのけものです。食事は、日常的なものに回帰して、ビゲンドはおもちゃマニア扱い。
文章がますます緻密になって、読み飛ばせないために、とてもゆっくりしか読めません。4分の3までほとんど事件も起こらず、しかも、現代なのでどれがシンボルで、どれは関係ないのか判断がつきません。残り、3分の1は、いつもどおり「マルタの鷹」状態で聖杯争奪戦になりますので、楽しく読めます。「パターン・レコグニション」と同じく、ギブスンらしい、しかも新しいトレンド小説としても申し分なし。ネットバブルには、関係なさそうですが、ギブスン、ファンにはほっとできるレベルの作品になってます。★★★★
港区図書館に貼りだしてありました。個人的に大きいのは、クラークと、ジェームズ・クラムリーでしょうか。ウイリアム・ギブソンは、SFの人ではなくて、劇作家の方です。
帰省帰りの新幹線の中で読んだのですが、間違いでした。とても危険です、かならず吹き出します。「わからなくなってきました」や、「よくわからないねじ」同様、面白すぎです。★★★★