アニメ、マンガ版のナウシカから、現代にユートピアがどのように扱われているのかを考察しようというのですが、途中から他の著作からの引用が多用されるようになり、どんどん話しが遠くなっていきます。予定調和を物語のなかに組み込まず、なお、ユートピアに魅了されているかのようです。人間に立脚した倫理を、環境まで広げ、その中で人間が生きていける場所を確保しつつ、それでもユートピアを環境との間で想像出来るのか。個人的には、ユートピアがなくとも社会そのものが環境との付き合い方を見出すしかないと思うんですが、本書では、個人と社会の関係を、個人と環境に置き換えて微妙なすり替えが行われている気がします。
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