20年前新宿にいたヤクザが、軽井沢で堅気になって別荘の管理人に。男の元に、5億円を追うヤクザが次々と現れて、男は愛犬と一緒に、ヤクザを皆殺しに。という粗筋。この男、作者ですよね。20年前、新宿の深夜プラス1で働き、愛犬の死を見とるために、軽井沢の別荘に、こもって死を見送った。さしずめ、この本は愛犬への鎮魂の書。愛犬に捧げているので、いつもの異常な情念はなくて、ひたすら生きる犬の生き方を人間にも要求しています。小説としては、馳星周らしくもない本ですが、軽井沢の別荘ディティールがいい味出してます。あくまでも書きたかったのは、善も悪もなく、ひたすら生きる犬の姿で、それは、人間が比喩で使う犬の生き方とはまるで違っているようです。
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