神林ワールドの原点、自分の存在をどうやって認識するのか、とにかくこれが全面に展開されています。気がつくと自分がなくなっていく喪失感、それと闘うには、敵と、敵を通じて見る、自分が存在している世界像、そして、高精度の武器が必要になる。海賊シリーズにも、他の作品にも共通する、敵と、世界像と、高精度の武器へのこだわりが、後半の長いモノローグを支えています。そして、ハッピーエンドもなく、延々と戦い続けることでしか、確認できない自己存在。唯一この世界から逃避する方法は、自己の存在の不在か、神を信じるかの2つだけ。自己存在の不在は、敗北と死しかなく、ロンバート大佐は、神を信じるという新しい戦略をとったわけですが、次作があれば、この神と、神を信じずただ戦い続ける2つの世界が対立するストーリーになるのでしょうか?
高精度な武器として、神林ワールドに存在した雪風も、コンピュータ群も、ラジェンドラも、武器としては十分ではなくなってきたわけで、次の高精度な武器としては、ヨウメイの猫しかなく、神林ワールドの危機は続きそうです。★★★★
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