アウグスティヌスや、トマス・アクィナス、イスラム神学者ガザーリーの本を読んだのは、高校生の頃でした。トマス・アクィナスは、だらだらと続く冗長な文章、何度も同じことが言い換えられて続く独特の著述スタイルに、バカバカしさしか感じませんでした。反対に、ガザーリーは、綿密な考証、考え尽くした思考に驚き、これで神を信じられるのと思ったら、やはり晩年は思索を辞めて敬遠な信徒に戻ったという記述を見つけてなるほどと思ったものです。トマス・アクィナスの、アリストテレスの有名な命題「それ自体で存在するもの」、実態への捉え方は、甘いとしか思っていませんでした。この考えが間違っていたことにようやく気づきました。トマス・アクィナス、そしてヨハネス・ドゥンス・スコトゥスを通じて中世神学哲学全体の再把握にこれほど適した本はないと思います。そして、オッカムのみつけた近代というものを、考え直すために中世哲学が役に立つという、当たり前のことをみせてくれました。この厚みでも、薄すぎるほど中身が詰まってます。★★★★
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